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岡部材木店の転機 その2

      2015/11/04

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苦労話no愚痴

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2tトラックでの「板材運送」は関東圏から新潟にまでに及んだ。

運転に自信があったわけではない。

胸の内に隠していた運転不安、言わずとも側にいる人にはバレていた。

「免許証と地図があれば、道間違えてもアメリカまで行かないからと・・・」と諭されたが、「心配なのはアメリカじゃなくあの世だよ!」と心の中でつぶやいていた。

ナビもなければエアコンもない。

女手ひとつの配達は容易ではなかった。

関越自動車道も開通していたので新潟まで行く事もあった。

今の私なら、一泊して美味しいものを頂いて・・・となるところだろう。

しかし、実際は先方と会話する以外のほとんどは子供たちのことばかり考えていた。

もちろん、運転中も考えてしまい「危ない危ない・・・運転に集中!」と独り言を繰り返しながらのトンボ帰りだった。

積み込みを終えると、事前に用意しておいた手描きの詳細ルート、地図帳を膝上に置き「ヨシ!」と気合を入れて出発するのが常だった。

高速道では、制限時速で走る私を多くの車が追い越して行くので気が楽だった。

しかし、11tクラスの長距離便が120km以上のスピードで私の右側を通過すると言いようのない風圧・威圧が私を襲ってくる。

反射的に出口はまだかと標識を捜し、膝上の紙に目を落としていた。

高速道路は怖い面も確かにあるが、出口が少なく迷う確率が低い。

それに標識が見やすくていい。

しかし、一旦出口を出て一般道を走り始めると状況はグンと変わる。

膝上に頼る回数が多くなり、今まで頼りにしていた標識が突然無くなりアタフタの連続に疲労とイライラが交錯していた。

左折すべき交差点を直進、かなりの距離を走ったあげくに袋小路。

バックを余儀なくされるがサイドミラーだけでの運転に疲労困憊。

やっとの思いで現場へ到着。

待っていた大工職人達の顔からは「え~っ。女かよ~」と口にこそ出さないが、荷降ろしの手助けを予期する落胆の表情が見て取れた。

そんな時ほど私はペコッと頭を下げ黙々と荷降ろし体制に入る。

買って頂いたことへの感謝の気持ちこそあれ、手助けをしてもらう気など更々無かった。

誰もあてにせず荷卸しにかかっている私を見て、皆さんたちは無言で荷降ろしに参加してくれた。

「ありがとうございました!」の言葉にも無言でうなずき、帰り際に運転席から頭を下げると、又もや無言で片手を上げた。

今年の夏も灼熱だが、昔の夏も暑かった・・・。

今では想像もつかないが私が運転していたトラック!エアコン無しだった。

だから出発前に幾つものアイスノンを凍らせクーラーボックスに用意して身体に当てながらの運転は、まさにサバイバルであった。

その3へつづく

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岡部 知子(おかべ ともこ)
・木の建築塾事務局
・伝統木構造の会理事

・飯能市文化財保護審議委員

著書

『木ごころ通わせ家づくり チームでつくる技ありの家』

『三代もつ木の家を直営でつくる』

岡部材木店

ホームページはこちら http://www.zaimokuten.com/index.html

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