西川材.COM

Union of timber to cheer you warm house building

*

「木ノ香」流れる町 =昨日・今日・明日=

   

 

朝の連ドラと西川材が好きな私です。

よほどの事がない限り見逃すことはありません。

年に数回、文化財などの見学会に参加した時は近場の木材産地をフラリと訪れるようにしています。

時間と体調次第ですが、かなり奥まで入って行くこともあります。

遠くから、かすかにチェーンソーの音が、まるで呻き声のように聞こえてくる。

林道から少し外れた林では「赤いリボン」がざわめき「あと10年!生かして~」と叫んでいるように感じます。(私、アブナイかも・・)

買い手のついた時に即、伐採。

昨今の「山主」事情も痛いほど分かるけど・・、「あと10年・・」もっと立派な成木になって嫁ぎたい!「木」の叫びも分かるのです。

「西川材」に支えられた私の昨日。小さな環境から西川地域を考えてみました。

=昨日=

私が生まれたのは福岡県の海辺に沿った静かな街。そこで幼少期を過ごし父親の仕事の都合でここ飯能に育ちました。

「海」から「山」への移動は幼い心に微細な記憶を残したのです。そのときから「自然」との共存意識が潜在的に生まれたのではと思っています。

社会人となった私は池袋にあった某銀行へと就職。飯能・池袋間の通勤が始まり「都会の雑踏」の中で埋もれそうな日々でした。

膨大な人の波が一斉に交差点を流れ、巨大コンクリートの中へと消えて行く。

毎日見るその光景に、人々の喜怒哀楽が折り重なった都市構造の縮図を見ていたのです。(まさにストレス・・・)。

「木ノ香」の環境に生きる現在に安堵感を覚えるのは幼児期の記憶が私を支えていたのです。

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ここ飯能(双柳)に移り住んだころ、周りは一面の畑に囲まれていました。

子供ながらに印象的だったのは、一連の野菜畑とは明らかに様子が異なる畑があったのです。

それが、「杉・ヒノキ」の植林用苗木であったことは小学の終わりになってようやく理解できたのです。

高校時代、校舎の渡り廊下を歩くと季節によって「異臭」が漂っていました。

それは学校の界隈にあった絹織物の素材、「繭」を湯通しする作業場からの匂いでした。

そうなんです。

「佐野利夫氏所蔵 飯能市郷土館提供」

「佐野利夫氏所蔵 飯能市郷土館提供」

 

当時、駅を中心にした街には「絹織物」・「材木商」の店が並び、それなりの活力溢れる中心街を歩きながら「ここは大都会」と信じて疑わない15歳の少女だったのです。

毎年、夏が来ると決まって水泳。

「飯能河原」は水泳のメッカでした。川からの帰り道界隈を見ると数件の高級料亭が見え、昼間から大宴会。

高らかに笑う男女の声は、「堰」から流れ落ちる水音よりも大きかったと記憶しています。

「うなぎの蒲焼かなぁ」「ちがうよ。鮎じゃない?」「両方だよ!」友達は泳ぎに来るたびに同じ会話を繰り返してしていたことを思い出します。

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当時の私も同じようなものでしたが、明確な残像として、三階建ての木造建築が目に浮かびます。

現在の私が分かる以上に大迫力を感じていた昔の私自身を時々思い出しては微笑んでいるのです。

 

サブタイトルを=昨日=としました。

一般的には日付が変われば「昨日」とするのですが、過ぎた時間は総じて「昨日」と決めてみました。

何十年、何百年の遠く離れた過去も「昨日」として思い出せば、人それぞれの過去が新しい角度で見えてくるのでは・・と思うのです。と、いうことで次回は=今日=。その次は=明日=で完了いたします。

 

 

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岡部 知子(おかべ ともこ)
・木の建築塾事務局
・伝統木構造の会理事

・飯能市文化財保護審議委員

著書

『木ごころ通わせ家づくり チームでつくる技ありの家』

『三代もつ木の家を直営でつくる』

岡部材木店

ホームページはこちら http://www.zaimokuten.com/index.html

〒357-0128
埼玉県飯能市赤沢238

TEL:042-977-0101

FAX:042-977-2491

※お越しになる際には、
事前にご連絡をお願いいたします。

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