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岡部材木店の転機 その3

   

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好転機&夢苦楽

配達業務は約4年間。その間「外向き営業」もあって数人の設計士が知り合いとなった。その中の一人に甲州街道沿いに拠点を持つ設計士さんがいた。

私の配達ルートが甲州街道を利用することが多かったためでもあるが時折その事務所に顔出しするようになった。

当時の私は建築に関する知識はゼロ、「板」に関しては深い思いがあった。

基本、「材木」には生活環境からして僅かながら身についていたものがあったと思う。聞いても忘れることは承知の上で設計士の先生方にお会いする度に取り止めのないない質問を投げかけていた。

自身の胸中ではナンセンスを承知の上で「外向き営業」には欠かせない糸口を見つけようとしていたのだ。

この無鉄砲さが功をせんしたのか、先生方は日本建築関連の集会や講演会・見学会への参加情報をくれるようになっていた。

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最初のうちはおっかなびっくりで小さくなっていたが、どういう訳か「これは面白い!」と思うようになっていた。それは高度な知識が身に付いた・・・と言う訳ではなく「外向き営業」には大きな支えとなる実感が生まれた頃であった。

その後は先生方が我が家を訪れるようにもなり、家族ぐるみの楽しい時間を過ごすことに恵まれた。それは今尚、「我が家の幸せ」として続いている。

「配達業務」を卒業してからは、全国各地で開催される会合・講演会にはせっせと参加して行った。

嫁いで10年以上、家族旅行以外に旅することは無かった私にとって他府県に残る風土・歴史文化を知るということ、そしてその場に集う新たな知人たちとの輪が、これ程楽しく有意義なことかと心底から思うようになっていた。

息子、娘たちと同年代の若者からは多くのことを学びその都度、寂しい思いをさせた子供たちのことを思い重ねながら、建築の専門家が語る理解困難な講義を聞いていた。

数年後の2000年。仲間と共に伝統工法による日本建築を伝えようと「木の建築塾」を立ち上げた。

最初の年は「土壁」がテーマだった。

設計士・施工者・研究者がそれぞれの立場から「土壁」の講義を行なった。その後は建具・伝統工法・素材等毎年テーマを変えて開催している。参加者は一般社会人、建築専攻の現役学生が混在したが、伝統技術を学んでいるというかそれは「優れた伝統の心」を学んでいるのではないかと思うようになった。

「戸建」が生涯の望みと願う人達にとって、コストダウンによる低価格住宅は購入決定の分岐点。ワンデザインにしか見えない戸建が並ぶ中、日本建築の素晴らしさを知りながら止むなくそれに決めた人もいればそうでない人もいる。

後者の比率が増えているのも現実。

今の私達にできること・・・。それは、人と木の共存が健康を守り、伝統的「木の家」が人の憂いの心を育てるのだということを伝えていきたいと思っている。そして政府側も「森林・林業プラン」(H21年農水省)を打ち出し「10年後の木材自給率50%以上」、「森林法の改正」

(H23年)を具体化。国産材の供給力を強化すると発表。僅かな希望が蜃気楼のように揺れている。

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岡部 知子(おかべ ともこ)
・木の建築塾事務局
・伝統木構造の会理事

・飯能市文化財保護審議委員

著書

『木ごころ通わせ家づくり チームでつくる技ありの家』

『三代もつ木の家を直営でつくる』

岡部材木店

ホームページはこちら http://www.zaimokuten.com/index.html

〒357-0128
埼玉県飯能市赤沢238

TEL:042-977-0101

FAX:042-977-2491

※お越しになる際には、
事前にご連絡をお願いいたします。

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